糖尿病治療薬 ~最近!?の話題~

お薬の話

先日、糖尿病協会より「糖尿病」という名称の変更を検討する方針であることが発表されました。今後1、2年のうちに新しい病名を提案する予定だそうです。

以前このコラムでも糖尿病についてお話ししていますが、今回は治療薬に関して情報をアップデートしていきましょう。

内服薬に関しては お薬の話 Part33 で紹介していますが、それ以降に発売された新しい糖尿病治療薬がいくつかあります。その中から今日は当院でも採用のあるSGLT-2阻害薬についてお話ししたいと思います。

どう作用するの?

血液中に含まれるブドウ糖は、腎臓の中の糸球体で血液から原尿(尿のもととなる液)の中に出た後、尿細管で取り込まれて血液にもどります。
SGLT-2阻害薬はその取り込みを抑えてブドウ糖を尿に排泄させることで血糖値を下げる新しいタイプのお薬です。(右図)

その他体重減少、むくみの改善効果があると言われています。

SGLT-2阻害薬を含めた主な糖尿病治療薬の比較した表を下にまとめました。
単剤だと低血糖リスクが低いこと体重減少の効果をもつことが分かります。

どんな時に使われるの?

下図は日本医師会より提示された2型糖尿病の治療薬選択に関する手順の目安です。体重減少効果があるので肥満がある場合に優先度が高くなっています。
また慢性腎臓病、心不全、心血管疾患がある方に使うことが増えています。

なぜ慢性腎臓病や心不全に使われるの?

はっきりとした機序は明らかになっていない部分もありますが、SGLT-2阻害薬の大規模臨床試験で腎保護作用・心保護作用が示されたからです。

特にSGLT-2阻害薬のなかでもエンパグリフロジン(ジャディアンス®)は慢性腎不全に、ダパグリフロジン(フォシーガ®)は慢性心不全と慢性腎臓病に使うことが正式に認められました。

注意することは?

先ほどSGLT-2阻害薬単剤では低血糖リスクは低いとお話ししましたが、起こらないわけではありません。特にインスリンや他の内服薬と併用している場合は注意が必要です。 低血糖も含め注意が必要なことをいくつかあげてみました。

低血糖

症状:空腹感・動悸・脱力感・めまい・ふらつき・冷や汗

ケトアシドーシス

症状:悪心・嘔吐・食欲減退・腹痛・異常に喉が渇く・体のだるさなど

脱水

症状:喉が渇く・体のだるさ・めまい・尿量の減少

尿路感染

症状:トイレが近い・排尿時痛・残尿感

皮膚症状

症状:皮膚の赤み・かゆみ・ニキビのような発疹

服用中は脱水や尿路感染症を防ぐためにも日ごろからこまめに水分補給することが大切です。
その他体調に異変があった際には医師・看護師・薬剤師等にご相談ください。

今回は糖尿病治療薬に関してお話ししましたが、糖尿病の基本は食事療法・運動療法です!
血糖値が気になる場合はまず生活習慣を見直しましょう。

2023年1月 薬剤科

関連記事

「お薬の話」の記事一覧