C型肝炎治療薬

お薬の話

みなさんはC型肝炎という病気をご存知ですか?薬害肝炎や芸能人の肝炎治療に関するニュース、最近ではC型肝炎治療薬のCMを見た方も多いかもしれません。C型肝炎治療は近年目覚ましく進歩しています。そこで今回はC型肝炎についてお話ししたいと思います。

◆C型肝炎について
C型肝炎とはC型肝炎ウイルス(HCV)の感染により起こる肝臓の病気です。HCVに感染すると約70%の方が持続感染者となり、慢性肝炎、肝硬変、肝がんと進行する場合があります。
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ予備能力が高く、自覚症状がないまま病気が進むことがあり、HCVの感染がわかれば症状がなくても検査や治療を検討する必要があります。

C型肝炎

◆治療法
これまではインターフェロン(INF)を含む3剤併用療法が治療の主流でしたが、INFはHCVを標的にした薬剤ではなく副作用も強く出る傾向にありました。しかし、2014年以降INFを使わない、副作用が少なく効果も高い飲み薬が発売されて話題になっています。 またHCVには種類があり、それにより治療法が異なってきます(表1)。ここでは当院で採用となっている飲み薬を紹介します。

表1.HCVのタイプとその治療法

セログループ

ゲノタイプ

日本人の頻度

治療薬

1群

1a型

1%未満

ヴィキラックス®配合錠
ハーボニー®配合錠

1b型

70%

2群

2a型

20%

ソバルディ®錠

2b型

10%

ヴィキラックス®配合錠(オムビタスビル / パリタプレビル / リトナビル)
対象:HCVゲノタイプ1型患者
飲み方:1日1回2錠12週間
副作用:むくみ(4.1%)頭痛(3.3%)吐き気(2.8%)下痢(1.7%)など

インクレチン関連薬

ハーボニー®配合錠(ソホスブビル / レジパスビル)
対象:HCVゲノタイプ1型患者
飲み方:1日1回1錠12週間
副作用:かゆみ(3.2%)吐き気(2.5%)口内炎(2.5%)便秘(1.9%)など

ハーボニー配合錠

ソバルディ®錠(ソホスブビル)
対象:HCVゲノタイプ2型患者
飲み方:1日1回1錠12週間
*コぺガス®錠(リバビリン)と一緒に服用して治療します。
(1日2回1〜3錠12週間)
副作用:貧血(11.4%)頭痛(5.0%)かゆみ(4.3%)体のだるさ(4.3%)

ソバルディ錠

これらの薬と一緒に飲むと効果が減少してしまうお薬や副作用が強く出てしまう可能性のあるお薬があります。現在飲んでいる薬がある場合には医師や薬剤師に相談して、飲み合わせを確認してもらってください。
これらの飲み薬は副作用が低く治癒率も非常に高いお薬ですが、値段がとても高い医薬品です。(申請すれば国から助成金が出るので少し負担が軽くなります。)途中で服用をやめてしまうと次治療を再開したとき薬が効かなくなってしまう恐れがあり、治療が困難になってしまいます。12週間しっかり飲み続けることが大切ですので、医師の指示通りしっかり薬の服用を続け治療していきましょう。

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今年4月から肝臓内科外来を新設しています。(毎週月曜日)
ご不明な点や気になることがありましたら当院スタッフにご相談ください。
参考文献
肝臓学会ガイドライン
国立研究開発法人国立国際医療研究センター 肝炎情報センター
ギリアド・サイエンシズ株式会社 HP
アッヴィ合同会社 HP

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