骨粗しょう症とは 「骨密度の低下と骨の微細構造の劣化が特徴で、その結果、骨の脆弱性が増大し骨折を引き起こしやすい全身性の骨疾患」と定義されています。すなわち、「骨の力学的強度が低下し、通常では骨折を引き起こさない程度の外力で骨折が起こる疾患」と規定されています。
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骨粗しょう症はがんや脳卒中、心筋梗塞のようにそれ自体が生命を脅かす病気ではありませんが、骨折から要介護状態になる人は少なくありません。QOL(生活の質)は著しく低下する可能性があります。 骨折を防ぐためにも骨密度の低下と骨質の劣化を予防しなければなりません。
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骨密度とは骨の強度を表す指標で、思春期の頃に十分に骨を育て、運動や適切な食事によって維持することが重要です。骨密度が若年成人平均値の70%未満になると骨粗しょう症と診断されます。
骨は成人になってからでも新しい骨に生まれ変わっています。それを骨の新陳代謝(骨のリモデリング【骨改革】)といいます。これは古くなった骨を溶かす破骨細胞と新しい骨を作る骨芽細胞の働きによって骨形成をすることです。
破骨細胞が骨を溶かすことを骨吸収といい、骨芽細胞が新しい骨を作ることを骨形成といいます。
女性は閉経後、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が急速に減少します。エストロゲンの分泌量が減ると骨吸収が異常に高まり、骨形成が追いつかなくなります。それは骨吸収によって溶けてしまった部分を新しい骨で埋めることが間に合わなくなり、スカスカ状態の骨になってしまうことです。そのため、骨粗しょう症と診断された人の閉経後の女性の割合は、男性の3倍にもなります。
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アステラス製薬ホームページより
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そこで予防のためにも毎日の食事療法をしっかりと行い栄養状態を良好に保つことが大切になってきます。
それは良質のたんぱく質・カルシウム・カリウム・マグネシウム・ビタミンC・D・Kなどを十分に摂取し適正体重を保持すること、バランスよい食事を心がけることですが、たんぱく質は過剰摂取するとリン摂取も同時に増加し尿中カルシウム排泄量が増大してしまうので少し注意が必要です。
ナトリウムの摂取過剰も尿中ナトリウム排泄量が増加すると同時に尿中カルシウム排泄量も増加してしまいます。味付けが濃い方は気をつけたほうがいいですね。
カルシウムの摂取を心がけるのと共にナトリウム、リンの摂取を少なくすることも 骨粗しょう症予防のために必要になってきます。 |
骨代謝に好ましい影響を及ぼす栄養素
① ビタミンD
腸管でのカルシウム吸収効率を高め骨のリモデリングを促進したり、筋力の増強を通じて骨代謝に
良い影響を及ぼすとされている。
含有量が多い食品は魚介類、卵などです。
② 良質のたんぱく質
骨基質であるコラーゲン成分、筋肉成分の補充に有用である。
③ ビタミンK
骨基質の活性化や、尿中カルシウム排泄を低下させる。
含有量が多い食品は納豆、緑黄色野菜類、海草、卵などです。
④ カリウムとマグネシウム
カルシウムバランスに影響を及ぼし、骨量低下を抑制したり、骨基質の改善効果があります。
⑤ ビタミンC
骨の主成分であるコラーゲン合成に関わることが知られているが、骨代謝における役割は明確ではない。
しかしビタミンCが多く含まれる野菜・果物には植物性エストロゲンも多く含まれていることから、
骨吸収抑制効果が期待されています。 |
骨代謝に悪影響を及ぼす栄養素
① 食品添加物
各種リン酸塩がインスタント食品、加工食品、清涼飲料水などに広く使用されています。
そのため、リン摂取過剰になり尿中カルシウムの排泄が増加してしまう。
② ナトリウム
日本人は塩分過剰摂取傾向状態であるため「醤油などの調味料、漬物、加工食品、練り製品」など
食塩含量の多い食品は控えるべきです。
③ カフェイン アルコール
カフェイン大量摂取により骨量の低下や骨折の増加が見られます。
アルコールの過剰摂取ではたんぱく質やマグネシウムの摂取低下、転倒率の上昇が関与しています。
④ 喫煙
抗エストロゲン作用や腸管でのカルシウム吸収障害、尿中カルシウム排泄促進作用などがあり、
骨量減少に明らかに関与しているため避けるべきです。
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