私たち薬剤師が患者さんとお話した時によく聞くのが、『食事をとれなかったから、薬を飲めなかった』というエピソードです。
確かに多くの薬は、食後という用法で処方されています。
「薬は指示通りに飲むことが大切」ということは基本です。
では、『食後』という指示は、絶対に何か食べてから服用しないといけないという意味なのでしょうか? 例えば、忙しくて食事がとれなかった…体調が悪くて食事が喉を通らない…元々1日2回しか食事をしない食生活…などいろいろなケースが考えられます。
結論から言うと、基本的には食事をとれない場合は、だいたいの食事をとる時間に薬を服用して構いません。
『食後』という指示が多いのには飲み忘れ予防という理由があります。時間で服用しようとしても忘れがちになってしまいますが、「食事のあとに飲んでください」と言われると、毎日同じ時間帯に食事をとっている人であれば薬も忘れずに服用できるのです。
ただ、薬の中には絶対『食後』でないといけないものがあります。
・解熱鎮痛薬(ロキソニンRなど) ・・・・・・・・空腹時にのむと胃を荒らす恐れがある
・高脂血症の薬(ソルミランRなど) ・・・・・・・・脂溶性であるため、空腹時に服用すると吸収が悪くなる
このような薬は、バナナやおにぎりなど軽いものでよいので食べてから服用するとよいでしょう。 牛乳などもよいのですが、薬の中には乳製品との相性が悪いものもありますので、ご注意ください。
また、起床時や食前・食直前・食間と決められている用法の薬もあります。
骨粗しょう症の薬や糖尿病の薬・腎臓の薬の一部があてはまります。
これらは副作用の予防や薬の効果を十分得るためです。
薬の種類は多岐にわたっていますし、上に挙げたものはほんの一例です。
そのほかにも医師の指示で用法が決められている場合もありますので、自己判断は禁物です。
薬の飲み方などで疑問・質問がある時は、薬剤師にお気軽にご相談ください。
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