長引くせきは要注意

検査のお話

結核はかつて国民病として恐れられてきた時代がありましたが、現在では生活水準の向上、医学・医療の進歩や
結核対策等によって減少してきました。
しかし、近年になり結核の報告が増加し、多剤耐性結核の発症や学校、医療機関、
高齢者施設等における集団感染が報告されています。
結核とは、結核菌が体の中に入ることによって起こる病気です。結核患者さんが
せきやくしゃみをすると
飛沫(しぶき)と一緒に周囲に結核菌が飛散します。それを周囲の人が吸い込む
ことにより感染します。結核はせき、たん、発熱などの症状で始まります。
2週間以上せきが続いていたら、病院や診療所等の医療機関を受診しましょう。
結核の症状には、このほかにも、たんに血が混じる、食欲が減る、体重が減る、寝て起きると汗をかいている、微熱が続く等があります。多くの場合は、結核菌が体の中に入っても、体の持つ抵抗力により追い出されてしまいます。
しかし、結核菌が追い出されず、体内に入り込むと、病巣ができ、せき、たん、発熱等の症状が現れます。
ただし、感染した人が全員発病するわけではありません。一般的には感染した10人のうち、結核を発病するのは1人か2 人といわれています。


結核は過去の病気ではありません。
現在でも、毎年全国で約2 万人、東京都でも約3 千人の方が新たに結核を発病し ています。
特に最近は高齢者の患者さんの割合が年々高まっていますが、東京都では、20 歳代及び30 歳代の若い世代の患者さんの割合が他県に比べて高く、若い人にとっても注意が必要です。
結核の検査
結核の検査には色々とありますが、代表的なものをご紹介します。
胸部レントゲン検査 発病したほとんどの結核は、肺に病巣をつくり、それが「影」として写ります。そのため結核の早期発見には、胸のレントゲン検査は有効です。職場健診や市の検診などを積極的に利用して、年に1回は胸部レントゲン検査を受けましょう。
喀痰検査
鏡検法 痰を染色し、顕微鏡で調べ、結核菌と思われるものが含まれているかを確認します。
培養法 結核菌が発育しやすい培地で菌を培養し、発育してきた菌が結核菌かどうか調べる検査です。結核菌は発育が遅い菌で、検査結果が出るのに時間がかかる場合があります。
PCR法 結核菌の特定の遺伝子を増幅させて行う検査です。
血液検査 QFT検査 結核に感染することによって体内で出来る物質を測定して検査します。BCGの影響を受けないためにツベルリン反応検査に変わって多く実施されはじめています。
薬はきちんと飲みましょう。
もしも結核と診断されたら、服薬による治療が必要となります。
結核の薬は結核菌が分裂している時にしか、効果がありません。結核菌の分裂速度は、15時間に1回といわれており、さらに分裂が遅い菌や分裂を休止している菌もあるため、再発をできる限り低く抑えるために、最低6か月以上の内服が必要といわれています。
この長い期間、お薬を飲み続けることは容易ではなく、多くの方が途中でお薬を飲むのを忘れてしまったり、止めてしまったりしていることが多いのです。
内服が不規則になったり途中で中断してしまうと、発病を抑えることができなくなったり、薬が効かない菌(薬剤耐性菌)を作ってしまいます。
薬は最後まで欠かさずに飲みましょう。
結核は感染していても発病していない人や、きちんと治療をしている人からほかの人に感染することはありません。発病した人も、薬を確実に飲んでいれば、感染性(ほかの人に感染するおそれ)は2週間程度でほとんどなくなります。


おかしいな?と思ったら早めに医療機関を受診していただき、適切な治療を受けて結核から身を守りましょう。

関連記事

「検査のお話」の記事一覧