みなさんは 『 はり薬 』 と言ったら何を思い浮かべますか?いわゆる腰や肩の痛みをとる 『 シップ 』 が最初に思いつくのではないでしょうか。
運動会や体育祭など真っ盛りの季節ですね。お子さんやお孫さんと一緒に久しぶりに体を動かす機会が増えた方も多いと思います。 『 シップ 』 が大活躍しているご家庭も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな貼付薬(はり薬)についてまとめてみたいと思います。
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<貼付薬の種類>
『 はり薬 』と一言で言っても多種多様で、先ほどの痛みをとる 『 シップ 』 だけではなく、狭心症や気管支喘息に対して効果のあるものもあります。最近では禁煙するためのはり薬もCMで流れていますよね。
以下に主な貼付薬を表にしてみました。
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貼付薬と効果 |
種 類 |
期待する効果 |
主な当院採用商品 |
消炎鎮痛薬 |
消炎鎮痛を期待する部位に貼ることにより、その症状を和らげる |
モーラステープ®L
セルタッチ®パップ等 |
硝酸薬 |
心臓の周りの血管を広げ、心臓の負担を減らす |
フランドル®テープ |
卵胞ホルモン薬 |
適度なホルモン量にする |
エストラーナ®テープ |
気管支拡張薬 |
気管支を広げることにより、呼吸を楽にする |
ホクナリン®テープ |
麻薬性鎮痛薬 |
強い疼痛を伴う疾患に使用する |
デュロテップ®MTパッチ |
禁煙補助薬 |
ニコチンを皮膚から吸収させ、禁煙へとつなげる |
(ニコチネル®パッチ:市販品) |
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この中でも最も一般的な鎮痛消炎剤には、パップ剤・テープ剤などがあります。
・ パップ剤:不織布が使われており、厚みのあるものがある。
・ テープ剤:主に布が使われており、薄く肌色のものが多い。
それぞれに含まれる薬品の成分や量の違いにより、効き目の強さや作用・副作用も異なるので注意して下さい。
<貼付部位について>
貼付薬を貼る場所に悩んだ事はありませんか?症状のあるところに貼るのがよいのでしょうか。一概にそうとは言えません。薬によってそれらは異なります。
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まず消炎鎮痛薬の場合は、成分が患部まで浸透するようになっているので、症状のある部分に貼ります。
一方、硝酸薬や気管支拡張薬等の場合は、成分が血管から吸収された上で効果を発揮しますので、効果の期待する部位(硝酸薬なら心臓、気管支拡張薬なら気管支)の近位に貼る必要はありません。
それぞれ貼る範囲には指定がありますので、添付された説明書を参考にかぶれやはがれのないよう貼る部位を決めてください。貼る範囲の指定とは、血管から吸収される速さがほぼ同じようになるような場所が指定されています。指定の範囲外・例えば足の裏などに貼ってしまうと吸収される速さが遅くなったりすることもあり、期待する効果を得られなくなりますので注意して下さい。 |
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<貼付薬がはがれた場合>
貼付薬を処方され、医師の指示どおりに貼っていても汗やお風呂などではがれてしまうことはありませんか?
すぐに貼りなおしたほうがいいのか、それとも次の時間まで待ったほうがいいのか迷うときもありますよね。
薬品名 |
対 処 法 |
ホクナリン®テープ |
貼ってから12時間経っていなければ新しいものを貼りなおし、12時間以上経っていれば血液中の濃度は維持されていると考え、貼りなおしはせず、次の回に貼ってください。※1 |
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フランドル®テープ |
一回はがれても、粘着力が落ちにくい性質のため、汗やシャワーなどで浮いてしまった場合は、タオルなどで全体の水分を拭き取り、しわを伸ばしてから貼りなおしてください。※2 |
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※1:山口県薬剤師会「薬の相談室」より ※2:トーアエイヨーホームページより |
上記はあくまでも一般的なものです。症状により異なりますので、担当の医師・薬剤師の指示に従い対処して下さい。
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<副作用>
どのような薬でもそうですが、貼付薬にもそれぞれ様々な副作用があります。
貼付薬全般で言うと、医師の指示よりも頻繁な貼り変えや、逆に貼り変え忘れなどによる長時間の貼付は、皮膚への刺激となり、かぶれ等につながる原因になります。
その他に代表的な副作用としては、モーラステープ®などの光線過敏症があります。光線過敏症とは、貼った部分を日光にあてることにより、発疹・発赤・かゆみ・はれなどのかぶれがおこる症状のことです。外に出るときは、晴れた日だけでなく曇りの日でも濃い色の服やサポーターなどを着用し、貼った部分を直接日光に当てないように気をつけましょう。はがした後も薬がしばらく皮膚に残っているので、はがした後4週間程度は同じような注意が必要です。 |
また他にも、ホクナリン®テープには過剰に貼ることにより手のふるえや動悸などの副作用の症状がみられることがあります。充分に注意して下さい。
貼付薬(はり薬)といっても様々なタイプのものがあり、今回取り上げたものはほんの一例です。
自分の使用している貼付薬(はり薬)が、どのような症状に対して使われているのか、どのような効果があるのか、どのような注意事項があるのかを把握しておくことが大切ですね。 |
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