認知症について

お薬の話

  認知症について 「最近、人の名前が出てこない」 「物忘れかしら?それとも認知症?」なんて不安に思うこと、ありませんか?多くの人は60歳くらいになると、記憶力や判断力に衰えが始まり、脳の機能の老化が始まります。加齢に伴う物忘れ(例えば、物の場所を忘れる・食事の内容が思い出せないなど体験したことの一部を忘れること)は認知症ではありません。
認知症の症状としての物忘れは「約束したこと自体を覚えていない」「食事をしたことを覚えていない」といった『体験したこと自体』を覚えていないことです。
認知症の症状は記憶障害だけではなく、下図のように様々なものがあり、症状としては大きく2つに分かれます。

1つ目は加齢による脳の病的変化や病気で脳の細胞が壊れ、その脳が担っていた役割が失われることで起こる症状=中核症状です(下図上側)。
2つ目は本人の性格や環境などの要因で、日常生活に支障をもたらす問題行動=周辺症状・随伴症状などです(下図下側)。





現在、日本国内では認知症の薬は下記の4種類が認可されています。ただ、あくまで対処療法であって、認知症を根本的に治すのではなく、認知症症状の進行抑制を期待したものです。


薬品名(主な商品) 剤形 服用回数 特 長
アリセプト® 内服 1日1回 軽度~高度のアルツハイマー認知症に適応あり。
ゼリー剤もあり。
レミニール® 内服 1日2回 内用液もあり。
イクセロンパッチ® 外用剤 1日1回 唯一の貼付剤で介護者が確実に投与できる。
メマリー® 内服 1日1回 行動や感情の安定化が期待される薬。
上記3剤とは作用機序が違うので、併用可。


その他に興奮・妄想・うつ状態などの周辺症状に対して使用される薬もあります。
漢方薬の抑肝散や抗精神病薬のセレネース®、リスパダール®などの服用で周辺症状が落ち着くケースもあります。


認知症で薬の服用が難しくなることもあります。飲めなくなる理由は下記のようにさまざまです。

   ・薬の数が多すぎて整理がつかない。
   ・シートから薬を押し出せない。
   ・服薬管理を手伝ってくれる支援者がいない。
   ・薬の印字や薬袋の文字が読みにくい。もしくはそもそも見えていない。
   ・日にち・曜日・時間の感覚がない。
      ・・・等々

最近は服薬支援用品(おくすりカレンダーやピルケース・錠剤開封器)などが充実してきていますので、その理由にあった支援ツールを適切に使用することで飲み残しを減らすことが出来ます。場合によっては薬の服用回数を減らしたり、不要な薬を中止したりすることが必要な時もあるでしょう。

 2016年4月から「かかりつけ薬剤師」という制度が始まりました。調剤薬局でかかりつけ薬剤師を決めることによって、来局時毎回同じ薬剤師が担当します。服用している薬の把握・副作用がないか、飲み合わせや服用状況など継続的に確認してくれるので、先述した服用回数や種類の適正化なども含め、気軽に薬や健康の相談ができます。

医師・看護師はもちろん、薬剤師やその他の医療スタッフへ、どうぞお気軽にご相談下さい。ご家族や介助者・医療スタッフも含め、皆で協力し話し合い、より良い策が見つかればなによりですね。

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