尿検査(1)

検査のお話

 腎臓は、血液によって全身の組織から運ばれてきた体の不要物を、
余分な水分とともに「尿」として体外に排泄する機能をもっています。
健康な成人の尿の排泄量は1日に1200ml〜1500ml。色は淡黄褐色で、
尿特有の臭気はあるものの、不快臭はなく、弱酸性〜中性といわれています。
腎臓で作られた「尿」は尿管を通って膀胱に入り、ある程度の量がたまると
尿道を経て体外に排出されます。

しかし腎臓をはじめ、体のどこかに異常があると不要物が排泄されなかったり、
排泄されてはならないものが尿に混じったりします。このような尿に含まれる物質や性質、量などを調べるのが尿検査です。
みなさんが健診などでよくされるのは、「尿試験紙」と呼ばれる紙を用いて行う「尿一般検査」というもので、項目としてはタンパク、潜血、糖をはじめ、他にウロビリノゲン、ケトン体、ビリルビン、アスコルビン酸、亜硝酸塩、pH、比重などがあり、ご覧になった方もいらっしゃると思います。

今回は上記の項目の中の、代表的な3項目について説明したいと思います。


◆ 尿タンパク 

 血液中には生命維持に欠かせない蛋白が一定量含まれています。尿を生成する過程で腎臓の尿細管で吸収されてほとんどが血液中に戻り尿として排泄されることはほとんどありません。しかし腎臓や尿細管などに障害があると、蛋白が吸収されずに尿中に排泄されてしまいます。
腎炎、ネフローゼ症候群、膀胱炎、尿路結石などが疑われますが、健康な人でも激しい運動や寒さ、精神的興奮、強いストレスなどによっても尿中に蛋白が出ることがあります。



◆ 尿潜血 

  腎臓や尿管、膀胱など、尿の通り道となる臓器に異常があると、尿中に赤血球が混じることがあり、これを潜血尿といいます。
赤血球が大量に出ている時は肉眼でもわかりますが、少量だけ混じって肉眼ではわからない赤血球があるかどうか調べるのが尿潜血反応です。
検査の注意点として、生理中の女性の場合は尿に潜血が混じってしまいますので、検査の前に必ず係りの人にその旨を告げ、急ぎでなければ生理後に検査することをおすすめします。



◆ 尿糖 

 血液中の糖はエネルギーとして消費されるので、尿中に出ることはなく、出たとしてもタンパク同様、ほとんどが尿細管で吸収されて血液中に戻ります。 しかし吸収機能が低下したり、糖尿病などで血液中の糖の量が一定の限度をこえると、尿中に糖が漏れ出てしまいます。



 尿検査は非常に一般的な検査の一つで、健康診断や学校での健康診断等でも利用されています。採血などと違い痛みがないため、繰り返し検査するのも容易です。全身を循環している血液をろ過して作られる「尿」を検査することで、様々な病気やその兆候を知る事ができます。上記に挙げた尿一般検査だけでは病気の確定に至らない場合もありますが、その後の精密検査のための大切な情報となります。

 尿の成分、量、色、排泄回数は食事や運動、睡眠、気温などによって影響されるほか、年齢、性別によっても変化します。また、薬剤や病気によっても変化しますので、尿を観察することは、ご自分で健康管理をするうえでとても重要です。食事や薬の影響が考えられないのに尿の色が変わったり、匂いがきつくなったりなど、いつもと違う状態が数日続くときは、早めに病院に行くことをおすすめします。

関連記事

「検査のお話」の記事一覧