塩分のお話

栄養科コラム

「食塩」を取りすぎると血圧を上げることは多くの研究などで指摘されて
います。特に、家族に高血圧の多い人や高齢者などは、食塩を多く取ると
高血圧になるリスクが高くなります。
しかし、この「食塩」による血圧上昇の程度(食塩感受性)には個人差が
あって食塩を多く取っても血圧には影響を及ぼさない人もいる
ようなので、減塩にすれば皆さんの高血圧が改善するわけでは
ありません。もちろん、他に何かの疾病をもっていて血圧が高く
なっている方も原疾患を改善しなければ減塩食を心がけたとして
もすぐに高血圧は改善できません。
食事を減塩食にする効果としては、高血圧の予防以外にも心臓肥大(左心室)
たんぱく尿の軽減・動脈の柔軟性を高め、降圧薬の効果を高めること・胃がんのリスクを軽減することなど良い点もたくさんあるので、もし食塩感受性が低くても食事を減塩食にすることは健康を維持するためにも必要です。

また、減塩食はナトリウム排泄に使用されるカリウムが失われるのを防ぐ効果もあります。(塩分はナトリウムというミネラルの仲間になります。)
ナトリウムとカリウムは体内でお互いバランスをとりあっているミネラルなので、もし余分に塩分(ナトリウム)をとりすぎた場合カリウムを同時に食べると余分な塩分を体外へ排泄する作用が働きます。
高血圧が気になる方は食事の塩分量を少なくしながらカリウムをしっかり食べるとより効果的に減塩効果が得られることになります。

カリウムって何・・・?
それは新鮮な野菜や果物などに多く含まれているミネラルです。
しかしカリウムは茹でたり、水にさらしたりすると、失われてしまいやすいミネラルでもあります。生で食べる方が効率的ではありますが、それでは量をたくさん食べることが難しいですよね。
野菜の中でも、かぼちゃのように茹でてもほとんどカリウムが失われない野菜もありますので、茹でてもカリウムの量が変わらない野菜を食べればいいですね。
 
減塩食ってどのくらいの塩分量をいうのかな・・・と思う方もいると思います。
「日本人の食事摂取基準2010年版」によると日本人の成人に勧められている 1日の塩分摂取量の目標値は男性9g未満 女性7.5g未満とされています。 数字では具体的に思い浮かばないと思うので、外食に当てはめてみると・・・
味噌ラーメン 約6〜7g塩分があります
豚肉の生姜焼き 約3〜4g塩分があります

 
どうでしょうか?実際のメニューと照らし合わせると以外にも「塩分」を日頃から多くとっていることが分かりますね。
この他にも「加工食品」「食パン」「お寿司」などにも「塩分」は隠れているので注意したいですね。

では、塩分を控えるためにはどのように日頃から気をつけたらいいでしょうか。
1. まずはうす味に慣れてください。
  昆布やカツオだしなどを有効に利用して素材の味を楽しみましょう。
2. 和え物より野菜は茹でたまま食卓へ
  醤油を小皿に(お刺身を食べるように)いれ食べるときにつけて食べると和えるよりは塩分量を控えることができます。
3. 練り製品・加工食品をたくさん食べない
  かまぼこ・はんぺん・ハム・ベーコンなどは塩分の多い食品です。
4. 食事を食べ過ぎない
  うす味に気をつけて調理をしたり、減塩醤油などで工夫をして料理を作っても量をたくさん食べてしまったら、塩分もカロリーもとりすぎてしまいます。



明日から、適切な食習慣を身につけてみてください。




当院では毎週水・木曜日に糖尿病外来があり専門の医師が診察をしています。
栄養相談も随時受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

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