検査のお話
最近、よくテレビや新聞などで聞かれる「ノロウイルス」。 近年、ノロウイルスは猛威を奮い、全国各地でノロウイルスによる 死亡のニュースなどもあり、 ご存知の方も多いかと思います。 ノロウイルスは100個以下の少量のウイルスでも体内に入ると、 小腸の粘膜で増殖する感染力の強いウイルスで、突発的に激しい嘔吐や 下痢になりとても苦しく、熱がでたり、悪寒の症状が出る場合もあります。 感染力が強いため、嘔吐物などの処理が不十分な場合には感染が拡大し 「家族中がノロウイルスに感染」という状況にもなりかねません。 比較的に体力の弱いお年寄りや乳幼児は、嘔吐、下痢による脱水症状や、 誤って嘔吐物を詰まらせたりすることによって亡くなってしまう場合もあります。 〜〜 感染経路 〜〜 ノロウイルスの感染ルートには、一次感染とよばれる「食品から人」への感染ルートと、二次感染とよばれる「人から人」への感染経路があります。
特に、食中毒では食品取扱者を介してウイルスに汚染された食品を原因とする事例が、近年増加傾向にあります。 この多彩な感染経路が、ノロウイルスの制御を困難なものにしていると言われています。 〜〜 症状 〜〜 ノロウイルスに感染すると、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などが主な症状で、発熱がある場合は、37〜38度くらいの軽度の熱ですむことが多いようです。 その後、多くの方は腹痛やきつい吐き気と下痢の症状が現れます。症状の現れ方などは、人によってさまざまですが、突発的に起こる激しい吐き気や嘔吐、下痢が一日に何度も起こり、大変苦しい病状となります。 乳幼児は嘔吐、成人は下痢の症状が特にきつく見られるようです。 しかし、2〜3割の方は通常の風邪かと思うような症状で治ってしまう場合や、感染しても発症しない人がいると言われています。 〜〜 検査 〜〜 通常、患者の糞便や嘔吐物を用いて検査を行います。ウイルスの遺伝子を増幅して間接的にウイルスを検出する精密検査(PCR法)や、特定の酵素を用いてウイルスと反応させることによって検出を行う迅速スクリーニング検査(EIA法、イムノクロマト法)があります。 現時点では、このノロウイルス検出方法はいずれも保険で認められておりません。迅速スクリーニング検査で数千円、精密検査だと数万円ほど費用がかかってしまいます。 ※当院では、PCR法、イムノクロマト法の迅速検査を行っており、迅速検査は30〜40分で検査結果の報告が可能です。 〜〜 治療 〜〜 ノロウイルスには特効薬はありません! ウイルスの研究には、動物培養細胞でウイルスを増殖させるのが一般的ですが、ノロウイルスについてはまだ、その増殖方法が見つかっていないと言われています。 研究はもちろん、検査や治療方法などが、他のウイルスに比べかなり遅れているようです。 ノロウイルスの自己免疫力は、感染者で1〜2年で失われるといわれていますので、ワクチン予防も期待できないようです。 治療としては、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を行ったり吐き気止めや整腸剤投与をするなどの対症療法が中心になります。 症状が強く、体力の消耗が激しい場合などは医療機関で輸液などを行うこともあります。 止瀉薬(下痢止め)の使用については、ウイルスを体内にとどめ、病気の回復を遅らせることにもなるので、下痢が長く続く場合以外、仕事等の生活上でも特に必要でない場合はあまり使用しない方が望ましいようです。 基本的には、かかりつけの医師の指示に従い、適切な治療を受けた後、安静にして脱水症状にならないように水分補給をすることが大切です。 〜〜 対処法(予防法) 〜〜 ノロウイルスに感染した方の、嘔吐物や便の中にはたくさんのウイルスがいます。 ノロウイルスは、消毒用アルコールや逆性石鹸に対し抵抗性があり、少量でも感染し感染力が強いこと、飛沫感染することなどから始末・処理・お掃除が、二次感染を防ぐポイントとなりとても重要です。
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