放射線のお話
胃がん検診でバリウムを飲んだことがある方もいらっしゃるかと思います。さてこのバリウム検査ですが、通常のレントゲン検査とは違った手法で行われているのはご存知でしょうか。
レントゲン写真を撮影する場合、対象部位の位置や角度をあらかじめ合わせ、それからエックス線を照射して画像が出来上がります。それに対して胃がん検診で行われるバリウム検査は連続したエックス線を当てながら体内を透視し、リアルタイムに観察しながら検査ができます。テレビをみるように観察できることからエックス線TVとも呼ばれます。そしてバリウムの位置や胃の角度を変えながら、その都度画像を記録していくことができます。
例えればデジタルカメラやスマートホンで写真を撮るように、エックス線透視検査ではモニタで動画を確認しながら構図を決めて撮影できるのです。それに対してレントゲン検査はモニタがないカメラで撮影するようなものなので、画像が表示されてから(数秒~10数秒)その良し悪しがわかるのです。リアルタイム性がエックス線透視装置の良いところで、その特性を生かして治療を行うこともできます。
胃透視検査(食道も含む) | バリウム(または他の造影剤)と発泡剤を飲んで胃の壁の状態を観察する検査です。 |
---|---|
注腸検査 | 肛門からバリウム(または他の造影剤)と空気を注入して大腸の壁の状態を観察する検査です。 |
血管造影検査 | 血管内に造影剤を注入して血管壁の状態を観察する検査です。そのままカテーテル治療を行うこともできます。 |
徒手整復 | 骨折や脱臼した骨の動きを観察しながら元の位置に戻す治療です。 |
動態機能検査 | 関節の動き、消化管の動きや流れなどを観察する検査です。 |
嚥下評価 | 造影剤を混ぜた食べ物や飲み物がどのように飲み込まれていくか、咀嚼や嚥下の状態を観察する検査です。また誤嚥のしやすさも評価できます。 |
異物除去 | 体内に入った異物を観察しながら取り除く治療です。 |
穿刺、挿入 | 体内に何かを挿入したり穿刺したりするときに、その位置を確認するために用います。針や管などです。 超音波診断装置、内視鏡装置などと組み合わせて使用することもあります。 |
このように便利なエックス線透視装置ですが、すべての撮影に用いられないのは、透視中には微量ながらも被ばくをするからです。リアルタイムな観察により得られるメリットが、被ばくのデメリットよりじゅうぶんに大きいときにだけ使用されるのです。