現在、インフルエンザの治療には、抗インフルエンザ薬が使用されています。抗インフルエンザ薬が登場する以前のインフルエンザの治療は、解熱鎮痛剤の投与など対症療法が行われていました。しかし、対症療法ではインフルエンザそのものを治しているわけではありません。 抗インフルエンザ薬とは、直接インフルエンザウイルスに作用し体内でウイルスが増殖するのを抑える薬で、経口薬(のみ薬)・吸入薬・点滴薬があります。下記に日本国内で発売されている抗インフルエンザ薬についてまとめました。 |
抗インフルエンザ薬の一覧 |
商品名 |
投与経路 |
適応 |
用法・その他 |
タミフル®カプセル
タミフル®ドライシロップ(当院未採用) |
経口 |
A型又はB型
及び
その予防 |
5日間投与
予防投与7〜10日間 |
リレンザ®(当院未採用) |
吸入 |
A型又はB型
及び
その予防 |
5日間投与
予防投与10日間
専用吸入器を使用 |
イナビル®吸入粉末剤 |
吸入 |
A型又はB型 |
単回(1回のみ)吸入投与
予防投与の適応なし |
ラピアクタ®点滴静注液(当院未採用) |
点滴静注 |
A型又はB型
単回(1回のみ)点滴投与 |
予防投与の適応なし |
シンメトレル®錠
シンメトレル®細粒(当院未採用) |
経口 |
A型のみ |
最長7日間まで |
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インフルエンザウイルスは体内で急激に増殖するため、これらの薬は、インフルエンザの症状が現れてから出来るだけ早く(48時間以内)投与を開始することが大切です。
また、感染者との接触後の予防投与には、タミフル®とリレンザ®が使用を認められています。
(ただし、一部を除き保険適用外。)
これらの抗インフルエンザ薬を投与後、薬との因果関係は不明なものの異常行動などの精神症状を発現した例が報告されています。特に、小児・未成年者に投与する場合は治療開始後少なくとも2日間は患者が一人にならないよう配慮が必要になります。このためタミフル®は、10歳以上の未成年者へは、原則として使用を差し控えることとなっています。
インフルエンザウイルスが排出される期間は、発症後3〜7日間程度と言われています。その間は周りの人へ感染する可能性があるため、解熱しても外出は控えましょう。参考までに、学校保健安全法では2012年4月の改訂により、「発症したのち5日間経過、かつ、解熱したのち2日間を経過するまで出席停止」となりました。また、抗インフルエンザ薬を服用すると早期に熱が下がりますが、処方された薬はなくなるまできちんと使用して下さい。
以上、インフルエンザの治療薬について簡単に説明しましたが、まずはインフルエンザに感染しないよう予防することが大切です。 |
予防の基本はワクチン接種ですが、インフルエンザに感染しないために日常生活の中で予防を心がけていきましょう。
・人込みを避け、マスクを着ける。
・外出後、手洗いとうがいをする。
・栄養と休養を十分にとる。
・室内の加湿と適度な温度を保ち、部屋の換気をする。
熱があるなど体調が悪い場合は、早めに外来を受診しましょう。また、その際にはマスクをきちんと着け、周囲の方へ感染を広げないよう配慮しましょう。
おくすりについて不安や疑問などがありましたら、ぜひご相談ください。 |
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