いざ!という時のために

お薬の話

 東日本大震災は未曽有の被害をもたらし、多くの人々が、日常生活さえもままならない事態となりました。
この震災を機に、災害時の備えを見直した方も沢山いらっしゃると思います。
水、食料に懐中電灯、情報源のラジオなど、最近では備えておくと便利な非常用品のコーナーが、量販店などあちこちで見られるようになりました。そんな非常用品の中で、意外と忘れられているものがあります。

それは・・・お薬です。

普段、病院で何気なく出してもらっているお薬ですが、災害時には病院や調剤薬局が機能しなくなる可能性が十分考えられます。継続してお薬を服用している方は、「常用薬の確保」が不可欠です。今回の震災でも、医師の診察を受けるまでかなりの時間がかかり、いざ医師がお薬を出そうにも、「何を飲んでいたのか分からない」「薬の在庫がない」といったことが実際にありました。

ここで活躍するのが、お薬手帳です。
普段持ち歩くのはもちろんですが、念のため非常用品の中にもお薬手帳のコピーを入れておきましょう。
というのも、非常時にはかかりつけの医師に診てもらえない可能性があるので、診察の際に提示すればお薬の確認がスムーズに行えるからです。また、一番新しい処方内容が分かるよう、薬の種類や飲み方に変更があった際、忘れずに交換しておくとよいでしょう。チャック付のビニール袋へ入れておけば、万が一濡れた場合でも安心です。

ところで皆さんは、もし「お薬手帳すら無い状況」になってしまったら、今どんなお薬を飲んでいるのか、具体的な名前や用法が伝えられるでしょうか?
名前はもちろん、用法(1日に何回、いつ飲むか)用量(1回に何錠飲むか)など、お薬を出してもらうために必要な情報はいくつかありますが、とりわけ、お薬の名前を覚えるのが苦手な方が多いようです。
「カタカナはちょっと・・・」「意味不明な横文字は苦手で・・・」と、最初から距離を置いていませんか?

お薬の名前には、意外な由来が隠されているものもあるんですよ!
当院で扱う薬の中から、いくつかご紹介します。

・アーチスト:血圧を下げる薬。高血圧症・狭心症や心不全治療薬。
     → 「アーティスト(芸術家・名人)のように治療する」

・アレロック:アレルギー症状を抑える薬
      → 「アレルギーをブロックする」

・ガスコン:胃や腸内のガスをとる薬
      →「ガスをコントロールする」


ここで紹介したのは、ほんの一例ですし、必ずしも分かりやすく命名されているとは限りませんが、薬を身近に感じるヒントになればと思います。
名前を覚えたら、次は用法、さらに用量と1つずつ進めてみてくださいね。
ご自身の健康を守るためのお薬です。
いざ!という時に慌てないよう、日頃からお薬に関心をもつことが大切です。

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