塗り薬の適量って?

お薬の話

寒さと共に肌の乾燥で季節を感じる方も多いと思います。乾燥に対して手軽に使えるのは保湿剤などの塗り薬ですが、どのくらいが適量かご存知ですか?

FTU量説明

最近では1FTU(finger tip unit)という単位を用いて軟膏やクリームの塗る量を説明することが多くなりました。

これは大人の人差し指の先から第一関節まで薬を乗せた量で、大人の手のひら2枚分の面積に塗る量に相当するという塗り方です。塗る量が少し多いように感じる方も多いかもしれませんが、十分な量を塗ることで期待する効果が得られます。「肌がテカる程度」や「ティッシュを当てるとくっ付く程度」も目安にして下さい。

チューブの口径が5ミリ程度(25g~50gチューブ)の軟膏やクリームで1FTU=約0.5gに相当します。口径の小さい5gチューブでは0.2g程度なので、人差し指の先から第一関節までを2回絞り出した量が約0.5g=1FTUになります。ローションタイプの場合は1円玉大が1FTUの目安です。

*上記はあくまでも一般的な適量を示したものですので、医師から指示がある場合にはそれに従って下さい。

1FTUの考え方は、広く外用薬(塗り薬)を塗る際の目安量として知られるようになりましたが、もともとはステロイド外用薬を塗るときの目安を示したものです。

しかし、「ステロイドの塗り薬は副作用が怖いから、少ししか塗りません」という話をよく耳にします。医師が患者さんに説明するときに、「湿疹は山火事のようなもので、ステロイド外用薬は消火器」という例えを出すことがあります。
火事で火がぼうぼう燃えているところに、ちょろちょろとバケツの水をかけても効果がないように、ひどい症状があるときは適度な強さのステロイド外用薬を適量使い、炎症をしっかり抑えてあげることが大切です。その後、症状が良くなってきたら医師の指示通り、外用薬の内容や使用頻度を変更していきます。

外用薬の適量は前述の通りですが、皆さんはどのように塗っていますか?

  1. まず、塗る前に手をきれいに洗いましょう。不潔なままだと手についている細菌や刺激物が体についてしまうことがあります。
  2. 塗るときに強くすり込むと皮膚にダメージを与えてしまうので、優しく塗るようにします。例えば必要量を手のひらに乗せ、広げた外用薬を、塗る部位にスタンプを押すように手のひらの外用薬を置き、全体に塗り伸ばします。また、広範囲に塗る場合は、始めに塗りたい範囲に指先につけた外用薬を少量ずつ何箇所かに置いておき、その後全体に広げていく方法も良いでしょう。
  3. 塗ったあとの外用薬は清潔に管理しましょう。チューブの周りにはみ出た薬は清潔なティッシュなどで拭き取ってからフタを閉めます。大きな容器の場合は直接指で取ると雑菌が入りやすいので、専用のスプーンを使用するなど工夫をすると良いでしょう。

また、冬場は特に軟膏は寒さで固くなりやすく、固い状態のままでは塗りにくいため手の中で暖めて柔らかくしてからの使用がおすすめです。

当院では毎週水曜日、皮膚科外来にて診療しておりますので、皮膚についてのお悩みがありましたらご相談下さい。また看護師によるフットケア外来(足の巻き爪や魚の目など足に関する処置)も併設しております。

2020年1月 薬剤科

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